〈2014.10.22 ハンガリー・トカイ〉
私がハンガリーに来た理由がその地にある。
早朝ブダペストからスロバキア国境近くの小さな村に向かう列車に乗っていた。
天気は下り坂。しかし、気分は上り坂。
数年前、赤ワイン派だった私がたまたま飲んだハンガリーの白ワイン。
白…?黄色…?
トロっとした舌触りの後に広がる甘く優しい香りを今でも忘れない。
それがハンガリーのトカイ地方でしか作れないトカイワインだった。
一瞬で恋をした。
世界3大貴腐ワインの一つであるトカイワイン。
霧の多いトカイ地方ならではの気候が貴腐菌というカビに最適な環境。
貴腐菌はブドウから水分を外に出すことで糖分を濃縮させる力を持っている。
こうして生まれたブドウが黄金色に輝く風味豊かなワインの王様トカイワイン作り上げる。
その憧れのトカイワインを本場で飲むチャンスが到来した。
乗り継ぎを経て4時間ほどで到着したトカイ駅。
都会とはかけ離れたトカイ駅。(ここ笑うとこですよ!)
不安になるくらい人がいない!
ワイン…ワイン…ワイン…ワイン…
観光案内所で地図をもらった。
見学や試飲ができるワイナリーを教えてくれた。個人経営のワイナリーも多数あり、見学はできなくともホームメイドワインの販売は大体どこでも可能らしい。
こんなに人がいない理由は雨だけが原因ではない。
ワインに必要な原料のブドウ。
ブドウの収穫時期は9月~10月。多くの産地で収穫終盤の10月上旬には収穫祭が催される。
つまり・・・
出遅れたーーーー!!!
観光シーズンの5月~10月上旬が終わればワイナリーはいったん終了。
製造業者さんは今年のワイン製造に勤しんでらっしゃることでしょう。
ひとまずミュージアムでワインの勉強をしてみよう。
種類豊富なブドウが種類豊富なワインを生み出すのね。
ワインの水筒。水分補給がワイン?
ラベルから垣間見るトカイワインの歴史。
トカイワインは奥が深そうです。
さてさて、お待ちかね♪
早歩きで向かったのがコチラのワイナリー。
無料ツアー&試飲&販売ございます。
シーズンオフなのでお客さん私だけ。
ツアー担当の奥様がお出かけ中のため、作業中のおじさまが案内してくれた。
地下にある貯蔵庫。こちらは昨年のワイン。
樽の中には200kg分のブドウを投入しますが、水分が飛んだ貴腐ブドウは普通のブドウに比べて軽いので200kgに達するまでより多くのブドウを必要とするんです。
待ちに待った試飲ターイム♪
5種類のワインを990HUF(約435円)でテイスティング。
1番目、FURMINT。
ドライワインだけど、ほのかな甘みがあってスッキリと飲みやすい!
2番目、ドライワインHARSLEVELU。
3番目、スイーツワインKOVERSZOLO。
4番目、スイーツワインCUVEE。
もう4番目にもなるとうっとりするほどの美味しさ。
そりゃもうゴキゲンです。
期待の5番目。
このワイナリーのプレミアムワインASZU。
ワイン製造に必要な果汁は136L。その136L中に含まれる貴腐ブドウの割合によって等級1~6まで分かれている。
最初のワインと比べると違いは歴然。
黄金に輝いています。
ワインとは思えぬほどの甘みととろみ。口に含んだだけで全身に行き渡るような高級感溢れる香り。
コイツ、ただモノじゃない。これで等級5だなんて信じられない。
目的が達成できて大満足!
ブダペストでも、なんだったら日本でも手に入れることは可能ではある。
だけど、この地で、この雰囲気でないと味わえない感動がありました。
ますますトカイワインの虜になりました。
ちょっと待てよ。
その前に一杯。
個人経営のワイナリーに飛び込んで頂いちゃった。
「王のワインにして、ワインの王である」とルイ14世を虜にした味と香り。
「金が入っているんでしょ?」と疑ったマリア・テレジアが調査を命じたほどの黄金の輝き。
小さな村の偉大な産物はこれからも素晴らしい歴史を刻んでいくんだろう。
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