〈2014.09.11 インド・バラナシ ボート編〉
まだ薄暗いAM5:30。
ガンガーに浮かんで朝日を拝みたい。
天気は良好。ボートに乗ろうと思います。
ゴミは基本的に夜のうちに外に捨てるだけ。ダイレクトに。
すると、翌朝ゴミ拾いカーストの人々によって片づけられる。これがここの常識。
つまりゴミ拾いカーストさんより早起きして活動すると、大量のゴミを避けながら、飛び越えながら歩くことになる。
雨が降ろうものなら、雨とゴミが融合されてしまうため、惨劇になる。
ガートに出ればボートを見つけるのは簡単だ。立っているだけでボート漕ぎさんが寄って来てくれる。とても豪快な料金を主張しながら。
ど・れ・に・し・よ・う・か・な?
笑顔がステキな兄ちゃん、2人で200R(340円)まで下がったところで決着。
後ろにいるのはエンジン付きボート。強烈な排気を放出して。手漕ぎさんたちを無視した強引な進み方でイヤな感じ。
がんばれ!パル!
おはよう!
パルはけっこう良いヤツ。いろいろおしゃべりしてくれます。たまに日本語だって話しちゃいます。
「雨季で増水すると対岸は消えちゃうんだよ。」
「バラナシって両端のガート、ヴァルナガートとアッシーガートが語源なんだよ。」
「あの大きな橋の向こうにクールな美術館があるんだぜ!」
パルの笑顔に癒される。
たいていの国で出身の話題になったとき、
「日本のどこ出身?」
「KYOTO」
「OH!!TOKYO!!!」
「Oh…yeah…Tokyo…」ってなるのは、いつものこと。
しかし、ここ、バラナシは一味違う。ほんの10日前からと思われる。
「日本のどこ出身?」
「KYOTO」
「WOOOW!Really?Kyoto is so nice!!」って流れになる。
2014年8月30日~9月3日、モディ首相訪日。
国民から絶大な人気を誇るモディさん。京都を訪れたモディさんは、バラナシと京都市の都市提携に調印。
「バラナシを京都のようにするんだ!」
・・・ってな流れになって、バラナシ市民もノリノリになっちゃて、「京都出身か!俺たちブラザーだな!」ってテンションに巻き込まれることになる。
パルも例外ではなかった。
「京都か!京都って最高に美しい街なんだろ?バラナシももうすぐ京都みたいになるんだぜ!」
「いや、すぐは無理でしょ。20年後くらいじゃない?だって、京都は牛歩いてないし。う○こ散らかってないし!」
「そうだな。う○こについては牛用のトイレを作らないとな・・・」
「え、ソコ?・・・そうね。牛については触れないのね。」
「こんなバラナシの景色も変わるんだぜ!」
・・・
・・・
ズルい。
すごくズルいなって思った、自分自身が。
バラナシが変わる。
京都のように。う○こもゴミもない街に。
ガンガーだって綺麗になるんだろう。ボロボロの汚い建物も消えるんだろう。
それでいいんだ。そうならなきゃいけないんだ。パルもすごく嬉しそうなのに・・・なのに、すごく寂しく感じる。
急速に成長していく他のアジア諸国でも同じことを思ってた。応援したいのに。一緒に喜びたいのに。
またこの土地を訪れた時に新しい景色を楽しめるように。
長い、長い、バラナシの数々のガート。端から端まで制覇しようなんて到底無理。
「ついたよ。船ここで止まったから岸まで歩いてね。」
「・・・」
「大丈夫、深くないから。」
「・・・」
結果・・・ゴキゲンじゃ!このやろー!
足にまとわりつく泥パック的なヌルヌル感を存分に堪能し、上陸。
不浄の地と呼ばれるこの場所、目を凝らせば、馬がいるし、建物があって人が住んでいるよう。パルいわく、彼らはとても身分が低いんだって。身分か・・・
この地に住む人はどんな思いで対岸を見てるのかな。
おや?こうして見るとアンタ、イケメンだね。
チャプチャプと川に浸かってボートに戻る。
手を振ったら、めっちゃノリノリで振り返してくれたインド人御一行。
一生に一度行けるか行けないかの聖地だもんね。そりゃテンション上がるよね。
パルのおかげでとっても素敵な時間が過ごせました。
「これでチャイでも飲みな!」
あんまカッコよくない。たった5R。だけど、心を込めた感謝のしるし。
バラナシが変わっても、またパルを見つけられたらいいな。
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