帰国は突然に・・・

消費税増税前日の2014年3月31日、私は関西国際空港に立っていた。ずっと思い描いてきた世界一周旅のスタートだった。
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丸一年後の2015年3月31日、私は旅立った日と同じ関西国際空港に立っていた。目に映る光景も感じる風も一年前となんら変わりなかった。

・・・夢?

夢だったのかな?・・・そう思わずにはいられなかった。

この帰国は予想外だった。
予定ではアフリカを北上し、ヨーロッパの友達巡りをし、大好きなタイに寄って、東アジアで体慣らしをして、スキップで帰国するはずだった。

そんなスケジューリングが一転。アフリカのナミビアにて強盗に遭い、旅に必要なものをほとんど失った。命の次に大事なパスポートさえも。さすがに再起不能な状態だった。ここから立て直して旅を再開することは考えられなかった。

しかし、事件当時は驚くほど冷静だった。怒り狂うこともなかった。泣き崩れることもなかった。涙なんて微塵も出なかった。
今できることは何か?やらねばならないことは何か?淡々と事を整理して処理していく。そうするしかなかった。

詐欺・盗難・強盗・・・旅人なら常に遭遇の可能性がある。これらが起こることを全く想定していない旅人なんていないはず。私もそうだった。一人旅、とりわけ気を付けていた。

じゃぁなんで盗られてんの?

その強盗の手段を想定しきれてなかった。自分自身、気が緩んでいた点もあるけど、体当たり型のアフリカ強盗の大胆さを知らなかった。タイミングも悪かった。こういう緊急事態は色々な負の要素が合致するものだ。

パスポートは驚くことに後日手元に返ってきた。しかし、現金を失い、カード類は全て停止、パソコンもない。旅を続けることは現実的ではない。

帰国。

旅の途中、日本が恋しくて帰りたくなったことは何度もある。病気で死ぬかと思った時に帰国を考えたこともある。
それでも、旅を続けてきたのは自分自身を諦めたくなかったから。ずっとずっと憧れてきた世界旅。この旅が終わる時、つまり自分の決めた目標を達成した時に初めて納得できる結果が手に入れられる気がしていた。

有言実行。そして、完結。

完結してこその結果だと信じていた。旅で自分が変われるなんてことを夢見てたのかもしれない。結果を握りしめて帰国することが笑顔で送り出し、応援し続けてくれたみんなへの恩返しだとも思っていた。

それなのに強盗で緊急帰国。突然の旅の終結。・・・カッコ悪い。

不本意で不完全燃焼で旅を終えるこの悔しさ、惨めさは、言葉では表すことができない。モノを盗られたことなんかより、自分の歩みと挑戦をぶった切られたことに絶望を感じた。

一年前と変わらない空港で立ち尽くす私の目に映ったのは、たくさんのスタンプが詰まったパスポート、汚れたバックパック、焼けた肌・・・

夢なんかじゃない。私は間違いなく世界を旅した。

旅の記憶が鮮やかに蘇る。一年前には想像もできなかった経験・出逢い・思い出・バイタリティーを手に入れたんだ。

これらは旅が終わったその瞬間に手に入るものじゃなかった。自分が歩んできた時間の中で蓄積されてきたものだ。物理的なモノなんてまた新しく手に入れればいい。だけど、旅の中で手に入れた目に見えない宝物に代替はなくて、確かに私の中に輝いていて、生きている限りずっと残り続けていく。誰にも盗むことなんてできない。

今なら言える。結果なんてない。終わりなんてものもない。歩みを止めるのは自分自身だから。誰しも平等に与えられた時間の中で世界を生きていて、その一瞬一瞬を大切にできるかどうかでチャンスと道しるべを掴むことができるんだ。

帰国はしたけれど終わりにはしたくない。旅人を辞めるつもりもない。いつになるか分からないけれど、またバックパック背負って旅に出よう。

旅が教えてくれたこと、旅から学んだこと、旅に気づかされたこと・・・旅からもらった溢れるほどの贈り物を抱えて、また別の挑戦を始めようと思います。

の~んびり書いてきたブログはずいぶんタイムラグが生じています。つらつら綴ってきた旅日記は盗まれたパソコンにしか残されてなかったので消滅しました。
でも、自分の記憶と写真データは健在。自分の思い出と、旅人を含む誰かの参考になることを願って、の~んびりブログは完結させるつもりです。

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