〈2014.09.07 インド・アーグラー〉
高校生の頃、趣味のように勉強しまくった世界史。みんながウザがって避けていた世界史の先生が大好きだった。
先生が教えてくれる世界の物語は試験や受験勉強に関係なくても私には必要に思えた。雑学を自分で調べることも多くなっていった。
すると、教科書からの情報だけでは得られない考えも浮かんでくるようになった。
ムガル帝国。1526年から1858年にかけてインドに成立したイスラム王朝。
5代目皇帝シャージャハーン。嫁が好きすぎて彼女の記憶と遺志と形にするべく創り上げた墓、タージマハル。
総白大理石、シンメトリーで緻密なデザイン、繊細な彫刻や象嵌細工、世界各国の宝石・・・
「イスラム建築の宝石」と称されるその姿はあまりにも美しく神秘的で世界中の人々を魅了することになる。
その美しいタージマハルに対して、この川の向こうに総黒大理石の墓を創り、橋で繋ぐ計画をしていた。
しかし、豪華なタージマハルを建設したのもあり、財政危機。
そうして、兄たちを倒して頭角を現した第3子のアウラングゼーブによって幽閉され、シャージャハーンはアーグラ城から出ることなく、黒タージマハルの夢も叶わず、一生を終えることになる。
「シャージャハーンってアホやん。そら、息子もキレるわ。」
誰もがそう思うだろう。もちろん私もそう思った。
だけど、深く考えるとちょっと違う思いが湧いてくる。
シャージャハーンのやり方はどうあれ、一人の人をここまで愛して尊重して捧げて生きるってどんな気持ちだったんだろう。幸せだったんだろう。かけがえないものを得たんだろう。それを失った悲しみは想像を絶するだろう。
世界中にアホって思われても自分の気持ちと信念を貫き、形に残したシャージャハーンは人として偉大なのかもしれない。
いつか・・・タージマハルに行こう。世界一壮大な愛の証を見に行こう。
このゲートをくぐれば・・・その願いが今日叶う。
仲良しの浜崎夫婦と彼らの旅仲間台湾人フィリピン人夫婦の5人でタージマハルへ。
入口は複数あるそうだが、メインたる東口へ。アーグラの街は小さいが、道がゴチャゴチャしてるので軽く迷子になる。
到着すると、すでにすごい行列!!
チケット売り場はもちろん現地人と外国人で分けられている。
料金だって腰抜かすほどの料金差だ。
外国人750R(1275円)に対し、現地人30R(51円)・・・
それにしても長い列だ。入るまでにどれくらいかかるんだろう。
「中に入るまで3時間はかかるぞ!しかし、ガイドの俺が付いていれば並ぶ必要がない。一人500R(850円)でガイドしてやるぞ!いい条件だろう?」
・・・
・・・
・・・
(一同、暗黙の了解)
「並ぼう。」
・・・
・・・
列に並ぶこと3分。
・・・
大行列の犯人は現地人でした。外国人が並ぶ列が違うため、簡単な荷物チェックだけで中に入れる。
いよいよ、夢にまで見たタージマハルです。
・・・
・・・
胸が高鳴った。
写真や映像でたくさん見てきたはずなのに感動で涙が出そうだった。
想像以上に美しかった。
みんな思い思いにタージマハルとの写真を撮っている。インド人、写真が大好きだから良いポジションを確保して、キメポーズをし、最高の思い出を残そうとする。
そういう訳で、軽い闘争が起こる。
タージマハルの大理石エリアに入るには、チケット購入時に渡される靴カバーを装着。
現地人は基本裸足。
遠くからでは分からないけれど、近づいてこそ見える衝撃。
昔の職人さんの技術が存分に発揮された繊細な象嵌細工。これが壁面に彩りを与えています。
黒のタージマハルを創れなかったシャージャハーンですが、大好きな奥様と仲良くこのタージマハルで眠っております。
中央の部屋には並んで棺が2つ。毎日たくさんの人に墓参りされていることになる。
・・・にしてもやで。
・・・
暑い。
死ぬほど暑い。
みんな日陰に避難中。
でも、テンション上がってる外国から来た観光客は・・・
世界中でどれだけの人が自分の全てを賭けてまで愛せる人と今を生きているんだろう。
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